中国が1月に入って合計355機の軍用機および艦艇107隻を台湾周辺に派遣するなど、台湾に対する軍事的圧迫を継続していると台湾国防部が発表した。
自由時報や台湾ニュースなど台湾メディアは31日、台湾国防部の発表を引用して前日午前6時からこの日午前6時まで台湾軍が台湾周辺の空域および海域で中国人民解放軍所属の軍用機9機と軍艦3隻を探知したと報じた。
台湾国防部によると、台湾周辺で探知された人民解放軍の軍用機9機のうち、電子戦機「Y-8」1機と偵察ドローン「BZK-005」1台は台湾防空識別圏(ADIZ)の西南空域に進入した。
ただし台湾海峡の中間線を侵した人民解放軍軍用機はなかった。
台湾軍は直ちに戦闘機を出撃させて警告放送をする一方、機体追跡のための防空ミサイルシステムを稼動した。
これに先立ち、29日午前6時から30日午前6時の間にも人民解放軍軍用機6機と艦艇5隻が台湾周辺で捉えられたと台湾国防部が明らかにした。
台湾軍は今月に入り、人民解放軍軍用機355機と艦艇107隻が台湾周辺で探知されたと明らかにした。
習近平国家主席を頂点とする中国共産党指導部は2016年5月民進党所属の蔡英文氏が台湾総統として執権して以来、台湾との公式関係を断絶して台湾に対する強力な軍事・外交的圧迫を加えている。
中国は昨年8月2~3日、当時ナンシー・ペロシ米国下院議長の台湾訪問を契機に台湾島を包囲する大規模実射撃訓練をしたことに続き、軍用機を連日台湾海峡中間線と台湾のADIZに進入させている。
台湾海峡中間線は1954年12月米国と台湾の間の相互防衛条約締結後、1955年米国空軍将軍だったベンジャミン・デービスが中国と台湾の軍事的衝突を防ぐために宣言した非公式境界線だ。
台湾の軍事専門家は中国軍用機の台湾海峡中間線と台湾のADIZ侵犯に対して「ニューノーマル(新しい標準)」を作ろうとする戦術で、特定地域を紛争地のままにするための「グレーゾーン戦術」(gray zone tactics)と分析している。