フィンランドに移住のロシア人、過去30年で最多「多くが亡命希望」

By | June 2, 2023


フィンランド南東部イマトラ近郊の国境地帯で、金網のフェンスの警備に当たる国境警備隊=2023年5月30日、ロイター

 報道によると、外国からフィンランドへの移住者は近年、年平均2万9000~3万6000人で推移していたが、昨年は一気に5万人に増加した。ロシアからの移住者は旧ソ連が崩壊した1990年代以降、3100人以下で推移していたが、昨年は計6003人に上り、過去30年で最多となった。

 国別でもロシアからの移住者が最多となっている。昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、ウクライナの戦場に送られる「徴兵」を免れたい人々が移住を望んだとみられ、「多くのロシア人が亡命希望者として入国している」(入国管理当局)という。

 ◇不法移民対策 フェンス建設開始

 ウクライナ危機を受け、ロシアと約1300キロの国境を接するフィンランドでは安全保障環境が激変。伝統的に西欧とロシア(旧ソ連)の間で維持してきた軍事的中立政策を放棄し、フィンランドは今年4月に正式に米欧の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。

 ただ、ロシアとの軍事衝突が即座に起きる可能性は低いとみられる中、フィンランド政府が現実的に恐れるのは、正式な手続きを経た移住者ではない「不法移民」の大量流入だ。

 フィンランド政府は今年2月、南東部イマトラ近郊の国境地帯でフェンス建設を開始。総工費3億8000万ユーロ(約567億円)を投じ、2026年末までにロシアとの国境約1300キロのうち、最も警備が必要な約200キロでフェンス設置を終えるという。

 だが、高さ約3メートルの薄い金網のフェンスの姿が4月ごろから徐々に公開され始めると、ネット交流サービス(SNS)などでは「まるで犬小屋のフェンスだ」「簡単に突破される」といった懸念の声も出始めた。英紙デーリー・メールによると、国境問題に詳しい東フィンランド大学のユッシ・レイン教授は地元紙に「ジョークとしか思えない」と酷評。フェンス建設は税金の無駄遣いで、「利益を得るのは建設業者だけだ」と指摘した。

 これに対し、フィンランド国境警備隊は金網の上部に有刺鉄線を取り付けた写真を公開し、簡単には突破できないことを強調。フェンスはまだ試験的な段階で、今後はさらに強化される方針という。

 欧州での大量移民の動きを巡っては、21年にロシアの同盟国ベラルーシから多くの移民が隣国ポーランドへ押し寄せ、ポーランド側が大混乱に陥った経緯がある。【ロンドン篠田航一】



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