三菱スペースジェット失敗の日本こそ、中国初の国産機「C919」に最も学ぶべきワケ

By | June 2, 2023


ボーイング737MAXと競合するサイズ

中国初の国産旅客機C919が、2023年5月28日に上海から北京への最初の商業飛行で飛行した。中国初の国産旅客機が5月28日、初の商業飛行に成功した(画像:AFP=時事)

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 C919は中国航空工業集団(AVIC)傘下の中国商用飛機有限会社(COMAC)が開発した中型機で、最大離陸重量が約80t、座席数は最大190席クラスになり、ちょうどボーイング737MAXやエアバスA320neoと同じクラスの旅客機だ。

 開発が中止された日本の三菱スペースジェットは70~90席のリージョナル・ジェットだったから、それよりも大型の、主に国内の中距離路線を結ぶ旅客機になる。

 中国では、既にリージョナル・ジェットに分類される100席クラスのARJ-21を実用化しているが、これはアメリカ製ダグラスMD-90のライセンス生産から派生した機種であり、純国産ジェット旅客機はC919が実質的に初めてといっていい。そのため、C919は中国の航空機技術が欧米に追いつきつつある現実を象徴する旅客機として、国際的にも注目を集めている。

 これまで中国は、経済の自由化と高度成長のなかで、特にエアバス社との結びつきを強めてきた。エアバス社が中国に拠点を設立したのは1994年のことだが、2008年には天津に最終組み立てライン(FAL)が開設され、中国国内でもエアバス旅客機の製造が行われている。この4月には、さらに2本目の組み立てラインを増設することも発表され、今後もますます中国国内での生産が強化される方向だ。

 中国は、エアバス社に工場と労働力を提供し、生産された航空機を購入する一方で、人材の育成や技術の吸収にも努めてきた。エアバス社は中国との共存を選んだのである。

欧米サプライヤーの参画と技術協力

中国東方航空のウェブサイト(画像:中国東方航空)

 C919が搭載するエンジンは、アメリカのGEとフランスのスネクマによる合弁企業CFMインターナショナルのLEAP-1Cエンジンだが、いずれは開発中の国産エンジンCJ-1000Aを搭載することも予定されている。CJ-1000Aは既に試作機の試験が進んでおり、今年に入ってからは、Y-20輸送機を改造した試験母機に搭載され、空中運転試験も始まっている模様である。

 搭載電子機器や系統装備品の供給元は、コリンズ・エアロスペース、GEアビエーション、ハネウェル・エアロスペースなどのアメリカ企業が多い。機体の安定性や操縦性を担う飛行制御システムもハネウェル社が担当しているが、制御プログラムは中国で開発したのだろう。

 こうしたことから、中国製といっても半分は欧米製ではないかという声も聞かれるが、装備品を欧米に依存せざるを得ない事情は日本でも同様で、C919に限った話ではない。むしろ注目すべきは、これらの企業のほとんどが、中国企業と合弁事業などのパートナーシップを結んでいることだ。

 欧米との合弁事業によって、中国は欧米企業の優れた技術を導入できるだけでなく、自国の経済にも大きなメリットをもたらすことができるし、欧米サプライヤーは中国の大きな市場に進出できる。欧米サプライヤーは、ボーイングやエアバスにすべてを賭けるのではなく、中国の航空機産業にも商機を見いだしているのである。



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