
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したベテルギウス。
ベテルギウスが通常より50%も明るく輝くようになり、天文学者を再び驚かせている。
この終末を迎えつつある赤色巨星は、2019年に大爆発を起こした後、その輝きを失っていた。
【全画像をみる】ベテルギウスが再び明るくなっている…それでも超新星爆発は数万年後
ベテルギウスの超新星爆発は、地球からも観測できるだろうが、それは少なくとも1万年後になりそうだ。
地球の空で最もよく見える星のひとつであるベテルギウスが、極めて奇妙な振る舞いをしている。
この赤色巨星(寿命が近づいている恒星)は、現在、通常よりも約50%明るく輝いていると科学者は述べている。
ベテルギウスの異変は初めてのことではない。2019年には不思議なほど薄暗くなり、崩壊や爆発の準備が整ってきたのではないかという憶測を呼んだ。調査によって、この星が崩壊するのはまだ先のことだとわかっているが、増光に影響を与える大爆発を起こしていたことが明らかになった。
2023年5月18日にarXivで発表された研究論文によると、ベテルギウスは通常の2倍の速さ、約200日で最も明るい状態に戻っていることが明らかになった。
ベテルギウスの光が増減するのは珍しいことではなく、400日周期で起きる傾向にある。今回周期が短くなったことは、2019年の「大減光」と関連している可能性が高いと研究者は述べている。
身近にある死にゆく巨星
ベテルギウスは、いずれ超新星爆発を起こして寿命を迎える赤色巨星であり、科学者はその行く末を注視している。とはいえ、星の一生のタイムスケールはとてつもなく大きく、この星が最後を迎えるのはまだ何万年も先のことだろう。
ベテルギウスまでの距離は約640光年で、天の川の中で地球の裏庭と言ってもいい場所にある。
誕生したのはおよそ1000万年前で、50億年前に誕生した太陽よりもずっと若い。しかし、この星は太陽の約700倍と非常に大きく、最期を迎えようとしている。
「ベテルギウスの最も素晴らしい点は、巨星の進化の最終段階をほぼリアルタイムで観測できること。これほど深く研究できたのは、これまでにないことだ」と、オーストラリアのスウィンバーン工科大学の天体物理学者、サラ・ウェブ(Sara Webb)はガーディアンに語っている。