
ドレスコードを改定し髪色や服装ルールを大幅に緩和したスターバックス。約2年が経過しどんな変化があったのか
コーヒーチェーン大手のスターバックスが、従業員の髪色や服装ルールを大幅に緩和してから約2年が経過した。これまでは黒や暗い茶色などに指定されていたヘアカラーの選択肢を大幅に増やし、デニムや一部帽子も着用できるようにするなど、従業員の多様な自己表現を広く認める方向に舵を切った。この間、職場環境や従業員の心境に、どのような変化がもたらされたのか。
【画像】自由なヘアカラーや服装で働くスタバ社員
「メロンのフラペチーノが発売されたら緑に、苺のフラペチーノが発売されたらピンクに髪色を染めるなど、さまざまな楽しみ方をするパートナー(従業員)がいます」(広報担当者)
米シアトル発祥のスターバックスが日本に進出したのは1996年。それから25年を迎えた2021年8月、「これまで以上に店舗で働くパートナーの多様性を尊重したい」との思いから、初めてドレスコードを改定し、髪色や服装ルールを大幅に緩和。より日常の自分に近い自然な振る舞いでの接客ができるようになった。
事前に約25店舗でトライアル実施を進め、ストアマネージャー(店長)300人や来店客の反応を分析。ストアマネージャーからは賛成の声が多数を占めたほか、来店客からも「親しみやすい」「スタバらしく、違和感がなくてドレスコードの改定に気付かないほど」――といった声が寄せられ、全店舗での導入に至った。
髪色ルールで働くことを諦めていたが……
本格導入から約2年を迎え、同社は今回、全国約1800店舗に在籍するストアマネージャー約1400人を対象に、ドレスコードに関するアンケート調査を行った。
「ドレスコード改定後に、少しでも髪色を変えたパートナーが店舗で5人以上いる」と答えたストアマネージャーは722人。「10人以上いる」と答えたのは682人に上り、ほぼ全てとなる約97%の店舗で、髪色を変えたパートナーがいることが分かった。
金髪をはじめ、グリーン、レッド、ブルー、シルバー、ピンク、オレンジなど、目立つ髪色に変えたパートナーが「いる」と答えた割合も全体の約96%に上った。
アンケートには、「自己表現が自由になり、働く自分に自信や誇りを感じられていると思う」「より自分らしくいられる選択ができるようになった」――など、ポジティブな意見が多数寄せられた。
採用面でも手応えが大きかった。ストアマネージャーの中には「髪色が自由になったため応募した」と声をかけられた人がいたほか、美容系の学校に通っている専門学生から「以前は髪色の規定があるので働くのをあきらめていた」と声をかけられた人もいたという。
「予想以上に、ドレスコードの改定が働くきっかけのひとつとなっている」と担当者は話す。
さらに、利用客から髪色の変化を褒めてもらうなど、コミュニケーションのきっかけになるシーンも増えた。パートナー同士のコミュニケーションが増えたと感じるストアマネージャーは72%に上り、「働いている中で、より相手を知るひとつのツールとなっている」「褒め合うコミュニケーションも生まれるし、認め合うコミュニケーションが活発になった」という回答が寄せられた。