ウクライナでのロシアの戦争、危険な分水嶺に

By | September 29, 2022


「住民投票」の3日目に投票者を待つ選挙委員会=25日、マリウポリ

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ロシア大統領府は週内にも、ウクライナの4つの一部占領地域で行われた「偽の」住民投票により、ロシア側が自国領土と呼ぶものへの迅速な編入について付託が得られたと宣言するとみられる。

国際法に照らせば、これらの住民投票は違法だ。すでにウクライナ、米国、他の北大西洋条約機構(NATO)の加盟国は、住民投票には法的根拠がなく、制裁につながると明言している。

それでも宣言は行われるだろう。ロシアはこの機会に乗じて、今回の茶番の中核となる脅しを強めてくる可能性が高い。セルゲイ・ラブロフ外相が先週末に公言したように、ロシア政府が正式に領土となった地域を「完全に保護する」権利を留保しているという脅しだ。

ロシア政府の脅しは明らかに核だ。プーチン大統領はありもしないNATOからの核の脅威の対抗手段として、好戦的な発言をしている。同氏は先週、必要とあらばロシアは「使用可能なあらゆる兵器を行使する」と警告した。

だが、ロシア政府関係者の姿勢は驚くほどもっと明確だ。彼らは核兵器の使用が現実的な可能性と受け止められること、プーチン氏も言うように「はったりではない」と受け止められることを望んでいる。

これをきっかけに、米国政府の発言にも寒気のするような変化が現れた。

この数か月間、西側関係者は核戦争を少なくとも考慮に入れるべきだという意見をことごとく退けてきた。それが今、米国のジョー・バイデン大統領や政府高官は同盟国、ひいては地球上のほぼ全員を安心させるために、核抑止や即応態勢についてメッセージを発信する必要に迫られている。

米国政府が戦争まっただ中のロシアに対して、核兵器の使用は悪い考えだと公の場で警告しなければならないと感じているような状況は、不安きわまりないものだ。当のロシアは、意のままに屈服させられると思っていた隣国から予想外の劣勢を強いられている。冷戦に暗い落ち着きをもたらした相互確証破壊の原則は失効したようだ。

今我々が目にしているのは、敗戦に直面すればすべてを失っても構わないという狂人的なイメージを押し出そうとするロシアだ。



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