
ウクライナ、東部で反攻強める ロシア軍は「再編成のため」要衝から撤退
ウクライナで侵攻を続けるロシア軍は10日、ウクライナの急速な反攻を受けて東部の要衝から撤退した。
ウクライナ当局はこの日、ウクライナ部隊がロシア軍の重要な補給拠点となっている東部ハルキウ州クプヤンシクに入ったと明らかにした。
ロシア国防省はその後、自軍が「再編成」するためにクプヤンシク近郊のハルキウ州イジュームから撤退したと発表した。
また、ドネツク地方の前線での「取り組みを強化する」ために3番目に重要な町バラクリヤから部隊が撤退したことも認めた。
ウクライナ軍のこの前進が維持されれば、ロシア軍がキーウ周辺から撤退して以降の最も重要な動きと言える。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は10日、毎晩定例のビデオ演説で、ウクライナ軍が今月初めに新たな反撃を開始して以降、2000平方キロメートルもの領土をロシア軍から奪還したと述べた。
ゼレンスキー氏は8日夜のビデオ演説で、過去1週間で1000平方キロメートル以上の領土を奪還したと発表しており、それからたった48時間でさらに1000平方キロメートを取り返したことになる。
■軍事拠点から撤退
ロシアはこれまで、イジュームを主要軍事拠点にしていた。そのため、ロシア部隊がこの町から撤退したとするロシア側の発表は重要な意味を持つ。
ロシアの声明によると、「イジューム=バラクリヤ部隊をドネツク人民共和国領へ撤退・組織的に移送させるための軍事作戦が3日間実施された」と説明。「ロシア部隊への被害を防ぐため、敵に強力な射撃による敗北を与えた」とした。
ロシア国営タス通信によると、それから間もなく、ロシアが任命したハルキウの行政当局トップが住民に、「命を守るために」ロシアへ避難するよう勧告した。
隣接するロシア西部ベルゴロド州の知事は、国境を越えようと列を作る人々に携帯電話や暖をとれるもの、医療支援を提供する予定だと述べた。
ウクライナ政府が西側諸国に軍事支援を求め続ける中、今回の前進は、ロシアの占領地域を奪還する能力がウクライナ軍にある証左だと評価される見通し。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、最近の展開はウクライナ軍がロシア軍を倒すことができることを示しており、西側諸国の武器をさらに確保できればより早期に戦争を終わらせられると述べた。
ウクライナ当局はウクライナ軍がクプヤンシクの市庁舎前で国旗を掲げているとする写真をソーシャルメディアに投稿した。兵士の足元にはロシア国旗があるように見える。
ゼレンスキー大統領は9日、自軍が「新たな集落を徐々に支配している」、「ウクライナの国旗を返還し、すべての国民を保護する」と述べた。
また、国家警察が解放された集落に戻りつつあるとし、ロシアによる戦争犯罪の疑いについて報告するよう市民に呼びかけた。
この呼びかけは、ウクライナの国連人権監視団がロシア軍による「捕虜に対する様々な違反行為を記録した」とする報告書を発表したことを受けてのもの。
同報告書はまた、ウクライナ軍が「捕虜を拷問したり不当に扱った事例」もあると非難している。
(英語記事 Russian forces retreat as Ukraine takes key towns)
(c) BBC News